糸島高校前

JR筑肥線

福岡県立糸島高等学校まで約628m 約8分

【学校】短縮系中距離型

  • 2019(H31).3.16開業

JRに31しかない前駅のうち13がJR九州の駅で、しかもその中の12が学校系だ。そんな学校好きなJR九州に去年、新たな学校系前駅が誕生した。佐賀の西唐津と姪浜、さらには地下鉄に乗り入れて福岡空港までつながる筑肥線の新駅である。新設されたのは駅のみで、開業から半年ほど経った8月に訪れると、丸い窓が目立つ真っ白な駅に開業を祝うプレートが置かれていた。

高校は駅の南西の住宅街に位置している。駅前ロータリーを抜け、なんの変哲もない道路を進んでいく。路地の突き当たりに門が見えたので、そこまでを測定する。学校の裏には叶原(かのうばる)溜池がある。ネットで見つけた「農業用ため池データベース」によると、堤の高さは3.8m、堤頂長は135m、総貯水量は37000㎥とのこと。これはいったい誰向けのデータなのだろう。

福岡県立糸島女子高校と県立糸島高校が統合し、1949(S24)年に当校は開学した。魏志倭人伝にも登場する伊都国の地ということもあり、一部の教室が文部大臣指定の郷土博物館になっている。当時の先進地らしく、銅鏡や石製宝石類、埴輪、舟形石棺などが展示されているとのこと。パンフレットに音声ナビゲーションまで備えており本格的だ。

学校までの道中、制服を着てママチャリに乗った男子に、アメリカ人らしき女性が手を振っていた。英語の先生かもしれない。通行人は少ないが、マンションが何棟か建設されるようなので、今後、住民が急増するに違いない。反対側にはビジネスホテルが建っており、観光地糸島としての姿も垣間見える。

前駅の系列には時代による流行り廃りがあるが、現在は「学校系の時代」だ。糸島高校前と同じ年に「龍谷大前深草」「石橋阪大前」「鳴尾・武庫川女子大前」「柴原阪大前」が誕生している。学校名は若さや品行方正というイメージがあるから、街のブランドを高めてくれるという意図があるのかもしれない。歴史の古さも関係しているのだろうが、帝塚山学園の前駅、近鉄「学園前」や小田急の「成城学園前」がいい例だ。減少傾向にある前駅の未来を背負って立つのは「学校系」と言える。ちなみに、沿線の筑前前原には「筑前前原駅前」という「前」が3つもつく信号があるので報告しておく。

参考文献 日本鉄道旅行地図帳、全国駅名辞典、糸島高校ホームページ、農業用ため池データベース